2016年12月22日

花郎(ファラン)


花郎12月19日からKBSで放送が始まった連続20話の歴史ドラマ。舞台は1500年前の新羅で、第24代真興王の時代。日本では聖徳太子より少し前の欽明天皇の時代が重なる。新羅のエリート軍人集団であり、文化の担い手となった花郎の創設期にまつわるエピソードを織り込んだドラマである。王族・貴族の子弟たちが国家組織の中で心身修練を重ねながら成長していく姿を描く。

真興王(在位540年-576年)

ドラマの主人公の一人が若き日の真興王で、名を三麦宗(サムメクチョン)と言った。彼は幼くして伯父である先代法興王から王位を継承したが、法興王の娘である母親の只召太后(チソテフ)が摂政となり、実権を握っていた。彼女は、唯一人の聖骨(純粋に王統の血筋を受け継ぐ最高の身分)となった息子の命を守るために、朝廷大臣たちにも王の顔を知られないように徹底した。顔のない王となった真興王は、その間、自由気ままに世情を見て回り、少しずつ成長し、いつか自分の真の姿を世に示すために準備を進めていった。
その過程で、自分の親衛隊作りを着想し、それが新羅の国家的文武両道の人材育成機関・花郎となって結実した。元々民間の修練施設であったものを、国家組織として改編したのである。
花郎を手にした真興王は、新羅の国力強化を図った。高句麗から漢江流域を奪い、南西の伽耶国を征服して領土を拡大した。伽耶の流民として新羅に入った金庾信(キム・ユシン)が後に花郎の指導者となり、数々の戦場で活躍し、新羅の英雄として名を残したのは、歴史の皮肉ともいえる。真興王の曾孫にあたるのが善徳女王で、その次の世代が新羅中興の祖と称される武烈王こと金春秋である。一時花郎の指揮者である源花となった美室(ミシル)を育成したとも言われる。

花郎(ファラン)は新羅のエリート軍人集団兼文化の担い手であった

以前「善徳女王」の中で、三国統一の中心勢力となる花郎群像がふんだんに紹介されたことがある。西洋社会の騎士道のように花郎道という、新羅精神の核心となる青年集団であった。国家の教育機関に集められて育成された彼らは、祭事や祝祭を司る集団であると同時に当時の芸能集団でもあった。今で言う韓流花の美男子たちのように、当時の女子たちの憧れの的であった。また、国の精鋭軍事組織でもあった。多くの名将が生まれている。後に新羅の国王が花郎たちの中から選ばれているが、時代と共に花郎道が廃れると、新羅は滅亡への道を辿って行った。金春秋、金庾信たちも最盛期の花郎出身である。
花郎組織を「花郎徒」といい、各組織の指導者を花郎、所属する青年たちを郎徒(ナンド)と呼んだ。また、花郎の中に「風流徒」、「風月徒」、「国仙徒」といった年功序列のシニア組織が置かれた。それぞれの組織の指導者も花郎、風月主、花主、国仙、源花などと呼ばれた。

新羅の身分制度・骨品制

骨品制は一種のカースト制度と言える。その頂点に位置するのは聖骨で、神国・新羅の神聖な血筋を受け継ぎ、国王になれる王族のみが属した。王にならない王族と中央貴族は真骨という貴族階級を形成した。それらの下に六頭品、五頭品、四頭品、平民が続いた。骨品制は新羅の王都においてのみ導入され、地方では適用されない制度であった。そのため、差別や蔑視から逃れた賤民たちは王都を出て行き賤民村に集まって生活した。やがて聖骨は、それ自体がもつ制約のため、途絶えざるを得ない運命にあった。二人の聖骨女王の死去により、聖骨は完全に途絶え、真骨出身の中から王が選ばれることになった。その最初の人物が武烈王こと金春秋であった。

演出 ユン・ソンシク、キム・ヨンジョ
脚本 パク・ウニョン

配役

パク・ソジュン  ムミョン/ソヌ(主人公で、腕っぷしの強い賤民の若者。出世の経緯が謎めいている。自己存在の理由を花郎に見つけ、修練生に加わる。殺された友の名前を借りてソヌ郎と名乗る)

コ・アラ アロ(真骨貴族の父と賤民の母との間に生まれた、生活力旺盛な娘。ムミョンと三麦宗の出現で生活が大きく変わる)

パク・ヒョンシク 三麦宗(真興王)/チディ(母の只召太后が計画した花郎の修練生に加わり、チディ郎と名乗る。彼もムミョンと同様に自己存在理由を花郎に見つける)

キム・ジス 只召太后(三麦宗の母親。七歳で王位を継いだ息子のために摂政になり、息子を守るために彼の顔を隠し続ける)

チェ・ウォニョン アンジ公(死んだソヌとアロの父親で、真骨出身の貴族。只召の元恋人。家門が没落したため、医業で生計を立てている)

ソン・ドンイル ウィファ公またはウィファ郎(創設されたばかりの花郎たちの養成を一任された貴族。自分独自の方針で花郎たちを教育する。風月主である)

イ・グワンス マンムンまたはソヌ(アンジ公の息子であるが、身分の卑しい母親に連れられて父親の元を去った。成長するとともに父親を捜す旅に出るが、三麦宗の顔を見てしまったために只召の命を受けた刺客に殺される。ムミョンとは賤民村で共に育てられた無二の友であった)

ソ・イェジ スンミョン(新羅の王女。只召の娘で、三麦宗の妹。ムミョンに心を寄せるが、聖骨の血統を守るために兄との婚姻を運命づけられている。親の愛に飢え、冷たい心の持ち主)

若き花郎たち
チェ・ミノ スホ郎
ト・ジハン パルリュ郎
キム・テヒョン ハンソン郎
チョ・ユヌ ヨウル郎
キム・ヒョンジュン タンセ郎
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2016年12月11日

第37回青龍映画賞


第37回青龍映画賞22016年11月25日夕刻、同映画賞の授賞式がキム・ヘスとユ・ジュンサンの総合司会の下、慶熙大学の平和の殿堂にて執り行われた。
対象期間中に上映された多くの映画の中から21編が最終候補作品として残った。その中でも最有力候補は、「釜山行き」、「お嬢さん」、「密偵」、「トンネル」、「インサイダーズ内部者たち」、「黒い司祭たち」、「阿修羅」、「東柱(トンジュ)」、「グッバイ・シングル」、「徳恵翁主」などで、中でもゾンビ映画の「釜山行き」が今回一千万人観客を動員した。
最優秀作品賞に選ばれたのは、「インサイダーズ内部者たち」であった。腐敗した政治家・権力者たちと彼らとつるんだ政治やくざたちの黒い駆け引き、それを追う検事らの姿を描いた作品で、今、韓国社会を揺るがしている大統領とその長年の友人による国政操作事件という現実が映画を超えたと話題になっている。この映画で主演男優賞を獲得したイ・ビョンホンは受賞スピーチの中で「絶望と抗議のロウソクの灯りがいつか希望の明りに変わるだろうと信じている」と結んでいる。
話題作の一つ「哭聲」に日本から出演した國村隼が助演男優賞と人気スター賞に選ばれた。
主演女優賞に選ばれた「お嬢さん」のキム・ミニは欠席し、代理受賞となった。

受賞者と受賞作品

最優秀作品賞  「インサイダーズ内部者たち」

第37回青龍映画賞1主演女優賞  キム・ミニ(お嬢さん)
主演男優賞  イ・ビョンホン(インサイダーズ内部者たち)

監督賞  ナ・ホンジン(哭聲)

助演女優賞  パク・ソダム(黒い司祭たち)
助演男優賞  國村隼(哭聲)

短編映画賞  イ・ジウォン(夏の夜)

シナリオ賞  シン・ヨンシク(東柱トンジュ)

美術賞  リュ・ソンヒ(お嬢さん)
音楽賞  チャン・ヨンギュ、タル・パラン(哭聲)
編集賞  キム・ソンミン(哭聲)
撮影・照明賞  イ・モゲ、イ・ソンファン(阿修羅)
技術賞  クワク・テヨン、ファン・ヒョギュン(「釜山行き」の特殊扮装)

新人監督賞  ユン・ガウン(私たち)

新人女優賞  キム・テリ(お嬢さん)
新人男優賞  パク・チョンミン(東柱トンジュ)

最多観客賞(一千万人観客動員)  「釜山行き」(ヨン・サンホ監督作品)

人気スター賞
  チョン・ウソン(阿修羅)、國村隼(哭聲)
  ペ・ドゥナ(トンネル)、ソン・イェジン(徳恵翁主)
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2016年09月01日

雲が描いた月の光


雲が描いた月の光8月22日から放送開始したKBSの新作時代劇。
タイトルの「雲」とは百姓、すなわち庶民、民衆などを意味する。「月の光」は君主のたとえである。「百姓の思いで描き出した君主」という意味がタイトルに込められている。
原作であるユン・イスの同名WEB小説をドラマ化したもの。

あらすじ

19世紀初めを舞台に朝鮮王朝第23代国王である純祖の長男で、19歳の時から病弱な父親に代わって代理聴政を行い、強い朝鮮の復活を夢見た天才君主・孝明世子と魔性の美男儒生・キム・ユンソン、世子の護衛武士・キム・ビョンヨン、そして思いもよらぬ成り行きで宦官になり、三人の青年たちの友、恋人、逆賊の娘として運命を共にした男装の女性・ホン・ナオンら、歴史に記録されなかった青春たちを描いた宮中ロマンス。物語は孝明世子が代理聴政を開始する直前の時期から始まる。

安東金氏の勢道政治

イ・サンこと正祖が急死すると、幼い純祖の後ろ盾になるよう正祖から頼まれていた金祖淳(キム・ジョスン)は、自分の娘を純祖の正妃にし、外戚として勢力を拡大し、安東金氏一門による60年にわたる勢道政治を確立した。この勢道政治の基礎を作ったのは、正祖の信頼が厚かったが、後に没落した洪国栄(ホン・クギョン)であった。正祖が遺した負の遺産である。
安東金氏の血を引きながらその勢道政治をけん制し、民衆のための政治を願ったのが、このドラマの主人公である孝明世子であった。彼は、志半ばにして父王より先に病死してしまう。純祖が亡くなり、孝明世子の息子である憲宗が即位すると、翼宗に追尊された。

演出  キム・ソンユン、ペク・サンフン
脚本  キム・ミンジョン、イム・イェジン

配役

パク・ポゴム  イ・ヨン(孝明世子) (純祖の長男で、憲宗の父親。安東金氏の勢道政治を牽制し、王権を強化して民衆のための政治を志したが、二十歳で病死した。男装の偽宦官ホン・ナオンとの出会いは、市中での事故的なものであったが、宦官試験に応募した彼女を合格させ、自分の近くに配置し、次第に心を通わせていった。ドラマの中では、架空の王妃尹氏が生母となっている。)

キム・ユジョン  ホン・ナオン(ホン内侍) (19世紀初めに歴史的民乱を指導した洪景来(ホン・ギョンネ)の娘であるが、逃亡中の母親が男の子として育てた。成長したホン・ナオンは、人から頼まれてインチキ代書をしたことが世子に発覚してしまい、身を隠すために宦官になろうとする。ひょんなことから世子に見つかるが、彼の計らいで登用試験に合格する。宮中に入ると、三人の青年と友情を育むことになる)

チン・ヨン  キム・ユンソン(安東金氏の権力者キム・ホン[金祖淳のこと]の孫。ホン・ナオンが市中に暮らす時から女性であることを見抜いていた。次第に彼女に惹かれていく。

クワク・トンヨン  キム・ビョンヨン(朝鮮最高の剣術を誇る東宮殿の別監として世子の護衛武士を務める。世子と共に出会った女のような内侍と何でも話し合える親しい仲になる。やがてこの内侍ホン・サムノムが自分の探していた洪景来の娘、ホン・ナオンであることが判明する)

チェ・スビン  チョ・ハヨン(後に世子の正室・趙氏となる名門一族の令嬢)

キム・スンス  純祖(正祖の次男で後継者。幼くして即位し、祖母の垂簾聴政を受け、舅・キム・ホンの勢道政治に苦しめられたため、病弱で優柔不断な国王となる。息子の世子に期待をかける)

チョン・ミソン  淑儀朴氏(純祖の唯一の後宮。母を亡くした孝明世子を温かく見守ってあげる)

チョン・ヘソン  ミョンウン王女(明温王女のこと) (純祖の長女で、世子の実妹)

ホ・ジョンウン  ヨンウン王女(永温王女のこと) (純祖の次女で、淑儀朴氏の娘) 

チョン・ホジン  キム・ホン(金祖淳のこと。王妃金氏の父親で、キム・ユンソンの祖父。朝鮮を実質的に支配する勢道家・安東金氏勢力の首長で、60年勢道政治を開いた人物)

ハン・スヨン  王妃金氏(純祖の後宮から王妃に昇格し、世子の継母となる。権力者キム・ホンの娘)

パク・チョルミン  キム・ウィギョ(吏曹長官で、キム・ホンの一派)

パン・ジュンヒョン  キム・グンギョ(戸曹長官で、キム・ホンの甥)

アン・ネサン  丁若(チョン・ヤギョン) (朝鮮末期の有名な実学者、丁茶山(チョン・ダサン)のこと。ドラマの中ではホン・ナオンの命の恩人。山に捨てられて死にかけていたナオンを救い、実祖父のように可愛がり、面倒を見た。後日、代理聴政する世子に対して立派な師匠になってあげる)

特別出演

チャ・テヒョン  作男
チョ・ヨジョン  若奥様
イ・ムンシク  オム・ゴン
チョン・ソギョン  男寺党(旅芸人)の頭
キム・ヨジン  キム・ソサ(ホン・ナオンの母親)
ソ・ジョンヨン  王妃尹氏(孝明世子の生母。架空の人物)
posted by rekishinootoshimono at 04:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする