2017年06月26日

七日の王妃


7日の王妃KBSが5月31日から放送開始した歴史ドラマ。「宮廷女官チャングム」の王様であった中宗の青年期を珍しく取り上げた作品である。彼の最初の夫人となるシン・チェギョンこと後の端敬王后愼氏との出会いからその後の婚姻を経てクーデタによる王妃廃位に至るまでの波乱万丈のラブ・ストーリーを描く。そこへ彼の腹違いの兄、国王の燕山君がかかわってくる。

七日の意味

燕山君をクーデタで倒した朴元宗(パク・ウォンジョン)一派に擁立された晋城大君(チンソンテグン)こと李懌(イ・ヨク)は第11代中宗となる。王権派の左議政愼守勤(シン・スグン)の娘で王妃になった愼氏の存在に将来の脅威を覚えた朴元宗らは、中宗に愼氏の廃妃を迫った。王は王妃の廃位を許可し、愼氏は実家の私邸に戻され、軟禁の身となった。クーデタから廃妃が決まるまでの七日間だけ王妃であった愼氏は、朝鮮時代の歴史上最も短い在位期間の王妃となった。七日というのは1506年9月18日から25日までの期間を指す。その後、廃妃愼氏は、71歳で死去するまで寂しく軟禁生活を送ったとされる。

チマ(韓服のスカート)岩の伝説

中宗と廃妃愼氏は仲睦まじい夫婦であった。結婚生活7年間、二人には子供が生まれなかった。廃妃となり実家に戻された愼氏のことを中宗は忘れられず、懐かしい時は宮殿の楼閣に上り、愼氏の実家の方角を眺めたという。その話を伝え聞いた愼氏は、自分がかつて王宮で着ていた薄紅のチマを裏の岩山にかけて、中宗の目に入るようにした、と野史は伝える。

愼氏の廃妃と中宗

朴元宗一派の脅しにより中宗が王妃を泣く泣く追放したという件は、記録によれば、中宗の意思が働き決定したようである。中宗は王妃の廃位に対して特に躊躇したり、反対を示さなかったらしい。むしろクーデタ直後の9月9日、王妃が王宮を離れると、翌日の10日、すでに新しい王妃の冊封を許可したという。
多くの歴史家たちが、愼氏は一日たりとも王妃であったことはなく、追尊王妃に過ぎないと意見している。王妃になるには冊封式を挙げなければならないが、彼女はクーデタ当日、強制的に中宗と離別させられている。七日という期間は、彼女が王妃であった時間ではなく、中宗が愼氏を追放させまいと踏ん張った期間と見るべきだとする。

ドラマの中における中宗に対する様々な評価

中宗は、先王の嫡子ではあるが、正統な手続きを踏んで王位に就いた人ではなかった。クーデタに成功した臣下たちにより擁立され、自分の兄を蹴落として得た王座であった。そのため、コンプレックスが強く、いつまた臣下の反乱で王座から引きずり降ろされるとも限らない。そんな不安からもストレスが積り、屈折した思いで地位にしがみついていた。心変りが激しく、卑怯で、小心者という評価が大方の見方である。「チャングム」ではかなり美化されていたようである。SBSの「師任堂・光の日記」では、煮ても焼いても食えない程ずる賢い悪人として描かれていた。

演出  イ・ジョンソプ(製パン王キム・タック、ヒーラー、町の弁護士チョ・ドゥルホ等のPD)
脚本  チェ・ジニョン

登場人物

パク・ミニョン  シン・チェギョン(後の端敬王后愼氏)

ヨン・ウジン  晋城大君・李懌(後の中宗)

イ・ドンゴン  第十代燕山君

チャン・ヒョンソン  愼守勤(シン・スグン) (シン・チェギョンの父親で、燕山君夫人の兄。左議政を務め、恥ずかしくない生き方に努めていた王の忠臣であり、一家の頼もしい家長)
 
カン・シニル  任士洪(イム・サホン) (燕山君の最側近臣下。王の暴政が自身の富貴栄華に比例していることをいち早く気付いた最高の奸臣)

ソン・ウンソ  張緑水(チャン・ノクス) (優れた神気を備え、夢判断や予言に通じた燕山君の後宮。任士洪と協力して燕山君が強力な王になることを手助けする)

ソン・ジイン  愼妃(燕山君の妻で朝鮮の国母。シン・チェギョンの伯母)

キム・ジョンヨン  権氏(愼守勤の妻で、シン・チェギョンの母親)

ト・ジウォン  慈順大妃(晋城大君の生母。息子のためならどんなことでもする女性)

ファン・チャンソン  賤民ソ・ノ(晋城大君とシン・チェギョンとは子供の時から知る間柄。政治よりは義理を、頭よりは心を信じる、晋城大君の真の友)

コ・ボギョル  ユン・ミョンヘ(勲旧大臣朴元宗の姪。晋城大君を国王にするために全力を尽くす)

パク・ウォンサン  朴元宗(吾衛部副総官。先王成宗の最側近を務めた関係で、慈順大妃と親密な関係を維持している)
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2017年06月24日

猟奇的な彼女


猟奇的な彼女5月29日から始まっているSBSの歴史ドラマというより時代劇である。以前、チョン・ジヒョンとチャ・テヒョンが主演してセンセーションを巻き起こした同名映画をテレビの時代劇としてリメイクしたもの。

あらすじ

都で一番性格がぎすぎすした男性のキョン・ウと朝鮮王室の問題多き彼女ことヘミョン王女が繰り広げる予測不能ロマンスを描く。キョン・ウは、清国に留学したことのあるエリート若手官僚で、王女は、幼少期に王宮から追放された母親の王妃を亡くした悲しい過去を持つ。そんな二人が王宮で出会い、様々な事件に遭遇していく。

青瓦台スキャンダルの余波

韓国の三大地上波テレビが今、一斉に時代劇を放送している。MBCの「君主・仮面の主人」、SBSの「猟奇的な彼女」、KBSの「7日の王妃」である。すべて王子、王女、王妃ら王室の人物たちが主人公で、一様に悪玉の重臣たちによって命を狙われたり、圧力を受けるという内容である。どうも朴槿恵前大統領とその取り巻きによる国政の私物化事件のあおりを受けたためと思われる。王もしくは大統領などの最高権力者に取りつき、次第に権力を掠め取っていく取り巻き連中または重臣たちをリアルに描いている。ドラマでは、横取りされた権力を取り戻すために主人公たちは戦う。

時代の特定

主人公のヘミョン王女をオ・ヨンソ、エリート青年のキョン・ウをチュ・ウォンが演じる。登場人物たちは皆架空であるため、舞台となる時代を特定することは出来ないが、清国風のインテリアや清国の文物から英祖(トンイの息子)の頃と思われる。本屋さんが市中に一般化し、風俗本の出版、物書きを生業とする作家が登場することもその時代を裏付けている。
重臣たちから攻撃されるヘミョン王女は、さしずめ思悼世子(サドセジャ)の女性版と考えられる。ヘミョン王女の父王、ヒィ宗(フィジョン)は、老論の重臣たちの言いなりになった英祖に相当し、国王に圧迫を加えた重臣たちは老論の官僚たちと重なる。

演出  オ・ジンソク
脚本  ユン・ヒョジェ

登場人物

チュ・ウォン  キョン・ウ(キョヌ) (清国留学帰りの若手エリートで、国王の命で王子の教育係に任命される。破天荒なヘミョン王女と出会い、トラブルに巻き込まれるが、王女の真の姿を見抜き、やがて王女に同情するようになる)

オ・ヨンソ  ヘミョン王女(重臣たちの企みで廃位された王妃の娘であるため、重臣たちから絶えず攻撃の対象とされる。彼女の破天荒な行動もこの暗い過去の記憶による。苦境に立たされた彼女を助けるのはキョン・ウであった)

イ・ジョンシン  カン・ジュニョン(監察部の従事官で、剣の使い手。ヘミョン王女に忠誠を誓う)

キム・ユネ  チョン・ダヨン(朝廷の最高実権者である左議政チョン・ギジュンの一人娘。父親に似て野望に沸き立つ欲望の化身。一目惚れしたキョン・ウを手に入れるため、王女を亡き者にしようと企む)

ソン・チャンミン  フィ宗(ヘミョン王女の父王。本来の王権を行使して善政を行いたいが、重臣たちの圧力に屈して思うままに出来ない。しかし、王女のことに関しては、重臣たちから彼女を守ろうとする父親である)

ユン・セア  王妃朴氏(元女官の出身であるが、ヘミョンの母親である王妃に濡れ衣を着せて廃位に追い込ませる。継妃になると、ヘミョン王女とその弟を除去し、自分の子を次の王にと画策する。左議政チョン・ギジュンと手を組み、王に圧力をかけるよう仕組む)

ユン・ソジョン  チャヘ太后(ヘミョン王女の祖母)

チェ・ノウン  元子(王の長男。ヘミョンとは両親を同じくする弟)

リュ・ダム  ヨンシン(ヘミョン王女を子供の時から世話してきた宦官)

テミ  ピョリ(ヘミョン王女の女護衛武士で、剣の使い手)

イ・ギョンファ  廃妃韓氏(ヘミョン王女の生母で、元王妃。陰謀に巻き込まれて廃位となる。死んだとされたが、生死不明である)

チョ・ヒボン  キョン・ピルヒョン(キョン・ウの父親で、大堤学の地位にある)

チャン・ヨンナム  許氏(キョン・ウの母親)

チョン・ダビン  キョン・ヒ(キョン・ウの妹。時流に流されやすく、権力におもねる性格)

チョン・ウンイン  チョン・ギジュン(朝廷の最高実権者である左議政。前王妃を廃位に追い込んだ張本人。何かと王に圧力をかけ、自分の思い通りに操る)

キム・ミンジュン(特別出演)  チュソン大君(チョン・ギジュンの企みに謀られ、前王妃と共に謀反人にされる)
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2017年05月14日

君主・仮面の主人


君主・仮面の主人5月10日から始まった全編20話のMBC新作歴史ドラマ。
主人公の王世子・イ・ソン(李愃)を演じるのは、ユ・スンホ。かつて名子役として視聴者に強い印象を残した少年が美男子のまま大人の俳優に成長した。「悲しい恋歌」、「太王四神記」、「不滅の李舜臣」などで主人公の子供時代を演じた姿が昨日のようである。子役俳優が大人になっても俳優で残れた珍しいケースである。ヒロインのハン・ガウンを演じるキム・ソヒョンも子役から出発し、主人公を演じるまでに成長した俳優である。

今回悪玉の辺首会・大木を演じるホ・ジュノは、「朱蒙」以来10年ぶりの時代劇出演となる。

ドラマのあらすじ

1700年代の朝鮮に実在した朝鮮全国の水を私有し、巨大な富と権力を得た組織、辺首会と真っ向から戦う王世子イ・ソンの正義の死闘と愛を描いた政治とメロが組み合わさったハイブリッド・ファクション史劇。民のために英雄になる王世子イ・ソンと父親を斬首した王世子に復讐しようとして愛してしまうハン・ガウンの爽やかなロマンスと共に権力を取り戻すための暗闘が繰り広げられる。

王世子イ・ソン(李愃)

時代と名前から思悼世子(サドセジャ)と思われる。正祖の父親である。父王英祖と政治的に合わなかったために米櫃に閉じ込められ、餓死した悲劇の王子。ドラマの中では、父王が自分のために秘密結社に殺される。

辺首会(ピョンスヘ)

元々は、朝鮮王朝以前から存在した建築技術の責任者たちの秘密結社組織で、朝鮮王朝建国を契機に強力な裏側勢力として成長し、代々王室の狩猟犬のような役割を果たした。
辺首というのは、工匠の頭のこと。ドラマの中では、水を所有し、支配する組織として描かれる。当時のソウルの水は市内を流れる清渓川から汲み取られていた。この川の周辺には乾期にも水が枯れない泉が数か所あり、そのそれぞれに所有者がおり、徹底的に管理していた。民たちは水を買い、その値段は所有者の意向で高下していた。ドラマの主人公イ・ソンは、水を所有し、牛耳る勢力との「水の戦争」を繰り広げる。
朝鮮時代、水の管理を任されていたのは揚水庁という役所であった。

清渓川(チョンゲチョン)

漢江水系に属する小さな河川で、ソウル市内を流れる。漢城(現ソウル)住民たちの生活水をもたらしていた。日本支配下、河川管理計画で暗渠になったが、設備の老朽化に伴い、最近、イ・ミンバク大統領の一声で元の開渠に戻され、市民の憩いの場に改造されている。

演出: ノ・ドチョル
脚本: パク・ヘジン、チョン・ヘリ

出演者たち

ユ・スンホ: 王世子イ・ソン(李愃) (生まれてすぐに父王の命で仮面をかぶせられた。青年に成長し、何の異常もないのになぜ自分が仮面を着けなければならないのかと自問する。その理由を知る人物に会うため宮殿を抜け出すが、その過程で民の本当の生活を知り、水を我が物にする辺首会の横暴を目撃する。仮面をかぶることになった理由、父王の暗殺が辺首会総帥大木(テモク)によるものであることを知り、国王まで支配する政界の黒幕組織との戦いに挑むことになる)

キム・ソヒョン: ハン・ガウン(漢城府武官の娘。学問に通じ、しっかり者である。王世子に一目惚れするが、父親を殺したとして王世子に復讐心を抱く。しかし、恋心は深まるばかり。父親の死の真相を知るに及び、王世子と共に辺首会と戦うことになる)

エル(キム・ミョンス): 賤民イ・ソン(偽の王世子にされる。本物の王世子の友として役割を果たす)

ユン・ソヒ: キム・ファグン(辺首会大木の孫娘。祖父の信頼が厚い。宮殿で偶然王世子を見かけ、一目惚れするが、片思いである。王世子への思いと祖父大木との間で揺れ動く)

ホ・ジュノ: 大木(テモク)(辺首会の総帥。国王を後ろで操る強大な権力を有する人物。王室の忠犬であった辺首会を王権の上に立つ組織に育てた張本人。最愛の孫娘に翻弄されることになる)

パク・チョルミン: ウボ(前成均館司成を務めた学者。ハン・ガウン、賤民イ・ソンを教え子に持ち、王世子の師匠となる。言動が変人であるが、人々から尊敬されている。教え方が独特である。王世子が仮面をかぶることになった理由を知る唯一の人物)

キム・ソンギョン: 王妃(王世子の嫡母。辺首会と通じているが、内心では彼らを軽視している)

チェ・ジナ: 暎嬪李氏(王世子の生母)

キム・ミョンス: 国王(王世子イ・ソンの父。トンイの息子、英祖と思われる。王子の一人であったが、辺首会に入会することで、組織の力で王位に就けた。英祖も老論の組織力で王になれた。辺首会から脱却し、名君になることを望んだが、息子にその希望を託すしかなかった。辺首会に王世子の顔を知られないようにと仮面をかぶせる。辺首会に楯突いたために抹殺される)

チョン・ノミン: ハン・ギュホ(ハン・ガウンの父親で、漢城府の武官であった。辺首会が操る王世子と名乗る者の命令で斬首される)
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