2017年07月29日

王は愛する


王は愛する7月17日からMBCが放送する新作歴史ドラマ。高麗後期モンゴルの干渉期を時代背景に第26代忠宣王を主人公にしたヒュージョン・ロマンス時代劇。

あらすじ

王願(ワン・ウォン=後の忠宣王)は高麗の改革を夢見る世子で、父の忠烈王とその側近の宦官や名門貴族などの既得権勢力と対立する。高麗第一の富豪であり、王室につながるウン・ヨンベクの一人娘であるウン・サンを愛するようになるが、王族で最愛の友であるワン・リンが彼女と親しくなると、二人に対する愛情が背信感に変わり、次第にヤンデレ化していく。その後、自分が愛した女性に似ているとの理由で酒に酔った勢いで強姦した女性を自分の妃に迎え、二人の王子に恵まれるが、子供に対する愛情もなく、父王との葛藤の記憶から息子たちにも疑念を抱き、気に入らない長男の世子を平然と殺してしまう。

主人公のワン・ウォンをイム・シワン、ワン・リンをホン・ジョンヒョン、ウン・サンをユナが演じる。演出はキム・サンヒョプ、脚本は「大王四神記」や「ヒーラー」を書いた実力派のソン・ジナが原作となるキム・イリョンの同名小説をドラマ化した。

出演者たち

イム・シワン  王願(ワン・ウォン=後の第26代忠宣王。高麗初の混血王)

ホン・ジョンヒョン  ワン・リン(守司空ワン・ヨンの三男坊。剛直な品性と愛の情熱を持つ王族。孤独な世子ワン・ウオンの身辺を世話してきた心の友でもある)

ユナ  ウン・サン(高麗一の大富豪ウン・ヨンベクの一人娘。母親の落命事件以後、召使の身分を騙り、山奥の師匠の下で修業中である)

チョン・ボソク  忠烈王(ワン・ウォンの父王。息子を警戒する。高麗王で初めてモンゴル人の王妃を迎えた人物)

チャン・ヨンナム  王妃・元成公主(ワン・ウォンの生母で、クビライ皇帝の娘。高麗に初めて嫁いできたモンゴル人王妃)

キム・ホジン  ワン・ヨン(ワン・リンの父親で、高麗第一序列の王族・守司空)

イ・ギヨン  ウン・ヨンベク(ウン・サンの父親。高麗一の富豪で、高麗の財貨を管掌する有力商人。一人娘のサンを何よりも大事に思う)

キム・ビョンチュン  チェ・セヨン(王妃の宦官で、忠臣なのか奸臣なのか分からない人物)

キム・ジェウン  フラタイ(王妃の護衛武士。王妃に付いて元から高麗にやってきた。王妃の忠実な臣下)

オム・ヒョソプ  イ・スンヒュ(童顔居士と呼ばれる高麗の大学者であり、ウン・サンの師匠)

パク・チヒョン  ピヨン(ウン・サンとは姉妹のように育った侍女。サンを助けようとして顔に大きな傷を負い、サンの服を着て身代わりを務めている)

高麗とモンゴル帝国

武臣政権期、中国大陸では宋が滅亡し、モンゴル帝国のクビライが元を建国し、皇帝に就いた。クビライは高麗に七回にわたって侵攻し、武臣政権は反モンゴルを掲げて強硬に徹底抗戦した。その頃、武臣政権を倒し、王権を回復しようと考えた高麗国王は、モンゴル帝国に服従する道を選び、モンゴルの力を借りて武臣政権を倒すことに成功した。これを機に高麗に対するモンゴルの干渉と要求は、過酷なまでに増大した。国王に就いた忠烈王は、自国の負担を軽減してもらうために、モンゴル皇帝の娘婿になる選択をした。クビライの姫君が忠烈王に従って高麗に入り、王妃になった。二人の間に生まれた混血王子がワン・ウォンで、後に高麗初めての混血王忠宣王となる。この当時、日本でもそうであったが、他民族特に蛮族との混血は人々の蔑みの的となった。それが国王になる人物となれば、なおさらのことであった。高麗純血の国王擁立を企む勢力が忠烈王の周辺にはびこり、王と世子が仲違いするように仕組んだ。王と王子がお互いに不信感を抱き、警戒し合うという歪んだ親子関係といつも孤独であったことが後のワン・ウォンの人格形成に影響した。
忠烈王以降のモンゴルから王妃を迎え、モンゴルに服従した高麗王に対して、モンゴル皇帝は「忠」のつく諡号を与えた。忠烈王、忠宣王、忠粛王、忠恵王、忠穆王、忠定王と続いたが、反モンゴルを掲げた恭愍王からは、王妃がモンゴル皇室出身であっても、諡号に忠が付くことはなかった。モンゴル帝国が中国からモンゴルの平原に退却したからである。

忠宣王・王願(ワン・ウォン)(1275-1325)

忠烈王とクビライの娘との間に生まれた嫡出の王子で、クビライの外孫にあたる。父王と高麗女性の間に生まれた庶出の兄がいたが、三歳の時、その兄を差し置いてすでに世子に冊封されていた。彼の後ろには常に大国モンゴル帝国が控えていた。モンゴルの不興を買った忠烈王が王願への譲位を強制されたが、すぐに復位すると、王願は元に逃れた。父王の死去を受けて帰国し、再び王位に就いた王願は、高麗には長居せず、元に生活の場を移した。国王が留守の高麗では、王の帰国を請願する動きがあったが、王願は息子に譲位し、完全に元に永住した。晩年の王願は、元の政治に絡んで功績をあげる一方で、政敵の謀略によりチベットに流されたりした。配流を解かれた後、元に戻り、享年50歳で客死した。

王願は、モンゴル皇室の女性を王妃に迎えたが、その四年前から婚姻関係にあった高麗人の趙妃を寵愛していた。王妃は趙妃に嫉妬するあまり、謀略により趙妃を元に送ってしまう。その後の趙妃の行方は杳として知れずであった。記録も墓も不明である。

貢女と宦官

モンゴル帝国が高麗に要求したことから始まった人間献上品の制度である。王族や貴族の子女たちを対象に選抜された。彼らは中国宮中の給仕や侍女として働かされた。そんな中、才覚のある貢女は皇帝の目に留まり、後宮や妃嬪に取り立てられる場合もあった。奇皇后(キ・ファンフ)がその代表例である。男子の場合、宦官にされるが、皇帝の側近として権力を振るう者も現れた。だが、ほとんどは惨めな境遇のまま異郷で生涯を終えた。
高麗の王族や貴族たちは女の子が生まれると誰にも知られないように隠した。本ドラマのウン・サンも貢女に選抜されるのを避けて、侍女として育てられる。
皇帝側近の宦官になった男子の場合、大国にではなく、送り出した側の祖国に対して冷酷になる者もいた。
人間献上品の制度は、モンゴル帝国、明、清の時代まで続いた。
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2017年06月26日

七日の王妃


7日の王妃KBSが5月31日から放送開始した歴史ドラマ。「宮廷女官チャングム」の王様であった中宗の青年期を珍しく取り上げた作品である。彼の最初の夫人となるシン・チェギョンこと後の端敬王后愼氏との出会いからその後の婚姻を経てクーデタによる王妃廃位に至るまでの波乱万丈のラブ・ストーリーを描く。そこへ彼の腹違いの兄、国王の燕山君がかかわってくる。

七日の意味

燕山君をクーデタで倒した朴元宗(パク・ウォンジョン)一派に擁立された晋城大君(チンソンテグン)こと李懌(イ・ヨク)は第11代中宗となる。王権派の左議政愼守勤(シン・スグン)の娘で王妃になった愼氏の存在に将来の脅威を覚えた朴元宗らは、中宗に愼氏の廃妃を迫った。王は王妃の廃位を許可し、愼氏は実家の私邸に戻され、軟禁の身となった。クーデタから廃妃が決まるまでの七日間だけ王妃であった愼氏は、朝鮮時代の歴史上最も短い在位期間の王妃となった。七日というのは1506年9月18日から25日までの期間を指す。その後、廃妃愼氏は、71歳で死去するまで寂しく軟禁生活を送ったとされる。

チマ(韓服のスカート)岩の伝説

中宗と廃妃愼氏は仲睦まじい夫婦であった。結婚生活7年間、二人には子供が生まれなかった。廃妃となり実家に戻された愼氏のことを中宗は忘れられず、懐かしい時は宮殿の楼閣に上り、愼氏の実家の方角を眺めたという。その話を伝え聞いた愼氏は、自分がかつて王宮で着ていた薄紅のチマを裏の岩山にかけて、中宗の目に入るようにした、と野史は伝える。

愼氏の廃妃と中宗

朴元宗一派の脅しにより中宗が王妃を泣く泣く追放したという件は、記録によれば、中宗の意思が働き決定したようである。中宗は王妃の廃位に対して特に躊躇したり、反対を示さなかったらしい。むしろクーデタ直後の9月9日、王妃が王宮を離れると、翌日の10日、すでに新しい王妃の冊封を許可したという。
多くの歴史家たちが、愼氏は一日たりとも王妃であったことはなく、追尊王妃に過ぎないと意見している。王妃になるには冊封式を挙げなければならないが、彼女はクーデタ当日、強制的に中宗と離別させられている。七日という期間は、彼女が王妃であった時間ではなく、中宗が愼氏を追放させまいと踏ん張った期間と見るべきだとする。

ドラマの中における中宗に対する様々な評価

中宗は、先王の嫡子ではあるが、正統な手続きを踏んで王位に就いた人ではなかった。クーデタに成功した臣下たちにより擁立され、自分の兄を蹴落として得た王座であった。そのため、コンプレックスが強く、いつまた臣下の反乱で王座から引きずり降ろされるとも限らない。そんな不安からもストレスが積り、屈折した思いで地位にしがみついていた。心変りが激しく、卑怯で、小心者という評価が大方の見方である。「チャングム」ではかなり美化されていたようである。SBSの「師任堂・光の日記」では、煮ても焼いても食えない程ずる賢い悪人として描かれていた。

演出  イ・ジョンソプ(製パン王キム・タック、ヒーラー、町の弁護士チョ・ドゥルホ等のPD)
脚本  チェ・ジニョン

登場人物

パク・ミニョン  シン・チェギョン(後の端敬王后愼氏)

ヨン・ウジン  晋城大君・李懌(後の中宗)

イ・ドンゴン  第十代燕山君

チャン・ヒョンソン  愼守勤(シン・スグン) (シン・チェギョンの父親で、燕山君夫人の兄。左議政を務め、恥ずかしくない生き方に努めていた王の忠臣であり、一家の頼もしい家長)
 
カン・シニル  任士洪(イム・サホン) (燕山君の最側近臣下。王の暴政が自身の富貴栄華に比例していることをいち早く気付いた最高の奸臣)

ソン・ウンソ  張緑水(チャン・ノクス) (優れた神気を備え、夢判断や予言に通じた燕山君の後宮。任士洪と協力して燕山君が強力な王になることを手助けする)

ソン・ジイン  愼妃(燕山君の妻で朝鮮の国母。シン・チェギョンの伯母)

キム・ジョンヨン  権氏(愼守勤の妻で、シン・チェギョンの母親)

ト・ジウォン  慈順大妃(晋城大君の生母。息子のためならどんなことでもする女性)

ファン・チャンソン  賤民ソ・ノ(晋城大君とシン・チェギョンとは子供の時から知る間柄。政治よりは義理を、頭よりは心を信じる、晋城大君の真の友)

コ・ボギョル  ユン・ミョンヘ(勲旧大臣朴元宗の姪。晋城大君を国王にするために全力を尽くす)

パク・ウォンサン  朴元宗(吾衛部副総官。先王成宗の最側近を務めた関係で、慈順大妃と親密な関係を維持している)
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2017年06月24日

猟奇的な彼女


猟奇的な彼女5月29日から始まっているSBSの歴史ドラマというより時代劇である。以前、チョン・ジヒョンとチャ・テヒョンが主演してセンセーションを巻き起こした同名映画をテレビの時代劇としてリメイクしたもの。

あらすじ

都で一番性格がぎすぎすした男性のキョン・ウと朝鮮王室の問題多き彼女ことヘミョン王女が繰り広げる予測不能ロマンスを描く。キョン・ウは、清国に留学したことのあるエリート若手官僚で、王女は、幼少期に王宮から追放された母親の王妃を亡くした悲しい過去を持つ。そんな二人が王宮で出会い、様々な事件に遭遇していく。

青瓦台スキャンダルの余波

韓国の三大地上波テレビが今、一斉に時代劇を放送している。MBCの「君主・仮面の主人」、SBSの「猟奇的な彼女」、KBSの「7日の王妃」である。すべて王子、王女、王妃ら王室の人物たちが主人公で、一様に悪玉の重臣たちによって命を狙われたり、圧力を受けるという内容である。どうも朴槿恵前大統領とその取り巻きによる国政の私物化事件のあおりを受けたためと思われる。王もしくは大統領などの最高権力者に取りつき、次第に権力を掠め取っていく取り巻き連中または重臣たちをリアルに描いている。ドラマでは、横取りされた権力を取り戻すために主人公たちは戦う。

時代の特定

主人公のヘミョン王女をオ・ヨンソ、エリート青年のキョン・ウをチュ・ウォンが演じる。登場人物たちは皆架空であるため、舞台となる時代を特定することは出来ないが、清国風のインテリアや清国の文物から英祖(トンイの息子)の頃と思われる。本屋さんが市中に一般化し、風俗本の出版、物書きを生業とする作家が登場することもその時代を裏付けている。
重臣たちから攻撃されるヘミョン王女は、さしずめ思悼世子(サドセジャ)の女性版と考えられる。ヘミョン王女の父王、ヒィ宗(フィジョン)は、老論の重臣たちの言いなりになった英祖に相当し、国王に圧迫を加えた重臣たちは老論の官僚たちと重なる。

演出  オ・ジンソク
脚本  ユン・ヒョジェ

登場人物

チュ・ウォン  キョン・ウ(キョヌ) (清国留学帰りの若手エリートで、国王の命で王子の教育係に任命される。破天荒なヘミョン王女と出会い、トラブルに巻き込まれるが、王女の真の姿を見抜き、やがて王女に同情するようになる)

オ・ヨンソ  ヘミョン王女(重臣たちの企みで廃位された王妃の娘であるため、重臣たちから絶えず攻撃の対象とされる。彼女の破天荒な行動もこの暗い過去の記憶による。苦境に立たされた彼女を助けるのはキョン・ウであった)

イ・ジョンシン  カン・ジュニョン(監察部の従事官で、剣の使い手。ヘミョン王女に忠誠を誓う)

キム・ユネ  チョン・ダヨン(朝廷の最高実権者である左議政チョン・ギジュンの一人娘。父親に似て野望に沸き立つ欲望の化身。一目惚れしたキョン・ウを手に入れるため、王女を亡き者にしようと企む)

ソン・チャンミン  フィ宗(ヘミョン王女の父王。本来の王権を行使して善政を行いたいが、重臣たちの圧力に屈して思うままに出来ない。しかし、王女のことに関しては、重臣たちから彼女を守ろうとする父親である)

ユン・セア  王妃朴氏(元女官の出身であるが、ヘミョンの母親である王妃に濡れ衣を着せて廃位に追い込ませる。継妃になると、ヘミョン王女とその弟を除去し、自分の子を次の王にと画策する。左議政チョン・ギジュンと手を組み、王に圧力をかけるよう仕組む)

ユン・ソジョン  チャヘ太后(ヘミョン王女の祖母)

チェ・ノウン  元子(王の長男。ヘミョンとは両親を同じくする弟)

リュ・ダム  ヨンシン(ヘミョン王女を子供の時から世話してきた宦官)

テミ  ピョリ(ヘミョン王女の女護衛武士で、剣の使い手)

イ・ギョンファ  廃妃韓氏(ヘミョン王女の生母で、元王妃。陰謀に巻き込まれて廃位となる。死んだとされたが、生死不明である)

チョ・ヒボン  キョン・ピルヒョン(キョン・ウの父親で、大堤学の地位にある)

チャン・ヨンナム  許氏(キョン・ウの母親)

チョン・ダビン  キョン・ヒ(キョン・ウの妹。時流に流されやすく、権力におもねる性格)

チョン・ウンイン  チョン・ギジュン(朝廷の最高実権者である左議政。前王妃を廃位に追い込んだ張本人。何かと王に圧力をかけ、自分の思い通りに操る)

キム・ミンジュン(特別出演)  チュソン大君(チョン・ギジュンの企みに謀られ、前王妃と共に謀反人にされる)
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